湿式剥離工法 PSリムーバーシステム

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塗装や剥離の現場を知り尽くす私たちだからこそ、
本当によい工法を生み出せる。
そんな信念で開発を続けました。

代表取締役 村瀬栄次

まず最初に開発したのは、剥離剤の塗布の工程です。
剥離剤が塗りにくい、そして、塗っても垂れてくる、という課題に対して、ノズルで吹き付けられないかと考え、いろいろ試してみました。しかし、歯磨きのようにブチュブチュと出てしまったり、反対に勢いよく霧状になってしまったりして、なかなかうまくいきません。
そんな中、高粘度の剤を圧送するエアレスガンを見つけ、いろいろノズルを変えながらテストしてみたら、うまく吹き付けられる上に、吹き付けた剥離剤が、空気を含んでムース状になるので、垂れてきにくい。
「これはいい。この方向だ」と、次は剥離剤メーカーさんと一緒に、もっとうまく泡状になる剥離剤をつくれないかと共同で開発をし、当社独自の剥離剤「PSリムーバーエマルションα」を創り出しました。
この剥離剤は、ピンク色なんです。普通、水系剥離剤といえば真っ白なものが多いですが、鉄塔は、赤や白の塗装がしてある場合があって、赤のところは白の剥離剤が目立っていいものの、白のところに白い剥離剤を吹いても目立たない。もっと視認性を良くした方がいいだろうとピンク色に。それにより視認性が上がり、発泡現象もよりわかるようになりました。

そうして、剥離剤とエアレスガンが決まりました。次は、それらを含めた塗布システムをどうするか。
従来のエアレスガンは、電動吸い上げ式が多く使用されています。でも、粘度の高い剤を吸い上げるのは難しい。50mや60mの鉄塔という高い現場もあるので、独自のシステムをつくらなければならない。試行錯誤した末に、プランジャーポンプで押し上げて、そこから重力で落としながら吸う方式にたどり着きました。
その方式なら、どこに行っても安定してうまく吹き付けられるようになりました。こうして塗布機ができあがり、「ふわあわ君」と名づけました。
副産物として、今までは、剥離剤や機材一式を高所まで荷揚げしなければならなかったのに、作業員がガンとホースだけを持って上がっていけば、すぐに塗布作業を始めることができるようになりました。荷揚げの時間を短縮し、設備や手間を節約できるんです。
私たちの、長年にわたる、さまざまな塗装の現場での経験を活かして練り上げた、それが、新しい塗布システム「ふわあわ君」なのです。

次は、剥離の工程です。
従来工法では、電動サンダーやスクレーパーを使い、ボルト周りなどはワイヤーブラシを使って、ガリガリやっている。時間もかかるし、キレイに取れないし、素地を傷つけてしまう。電動サンダーは、比較的作業が早いけれども、火花で火災のおそれがあるから、できれば使いたくない。
であれば、高圧洗浄ガンで水を吹き付けて剥離をできないか、というアイデアが出てきました。
試してみると、とてもうまく行きます。「ふわあわ君」で塗布したムース状の剥離剤が、塗膜と一緒にみるみるうちに剥離していきます。早いし、キレイだし、表面のメッキも傷つけない。
水が飛び散って作業者にかかる、という心配点も、専用の先端保護カバーを開発し解決しました。これは作業者への水の跳ね返りを軽減するだけでなく、複雑部への追随性や剥離力アップにもなり一石二鳥でした。
ただし、剥離剤と塗膜が水に溶けて大量に滴り落ちるわけですから、それをどうやって回収するか、という問題を解決しなければなりません。
また私たちの試行錯誤が始まりました。

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